「インターナショナル 14 」は、限定規格級のセーリング・ディンギーである。
世界インターナショナル14協会の決定にしたがい、このクラスの艇の計測に関する限り、別途脚注を付した事項を除いて、本冊子に記載するものを唯一の規則とする。
ISAFの「セール・メジャーメント規則」は、これに適用しない。
艇とは、ハル、スパー、セール、及びフィッティングをいう。
計測の単位はメートル法とする。
注: 本文中で特に定めていない場合は、すべての計測はハルの吃水線ならびにフォアおよびアフトのセンターラインに係わる水平、垂直、縦方向の三軸のそれぞれについて行う。
規則1.ハルとフィッティングの長さ
(a)ハルの全長は、ステムバンドを含め、但し一切のラダー・フィッティング、トランサム・フラップ、ドレイン・プラグ並びにステム・フィッティングを除き、4267_を超えないものとする。ステム・フィッティングはハルの表面から25_以上突出してはならない。艇の外表の長さを結果として4267_以上にするような一切のフィッティングあるいは装具は認められない。
(b)バウスプリットおよびバウスプリットを支える構造物は認められる。これらは、ハルの前端から900_以上伸びてはならない。バウスプリットは、内径140_の輪を通過するものでなければならない。バウスプリットを支える構造物は幅13_かつ水平方向に76_以内のものとする。これらはシアーライン又はその延長線下457_を越えることは出来ない。ジブ・ラフの延長線とシアーラインは、ステムの前方300_を超える位置で交わってはならない。
規則2.ビーム
フィッティング及びガンネル・アセンブリーを含めた艇の幅は、その最大位置において1830_を超えてはならない。ハルの外においてクルーを支持しえないフットループ、及びガンネル・アセンブリーはハルの一部ではなく、従って艇の幅の計測の際に、又は規則5.については、これらを除外する。(尚、規則20.を参照)
規則3.バウの後方2134_における断面の形状および高さ
この位置にあって、
(a)被覆の外表はビームが1118_の位置のキールより203_以上高くしてはならない。
(b)ハルまたは、ガンネル・アセンブリーの上端は、ハルの最下端から508_以上、高くしなければならない。
[この規則に関しては、キールないしはキールバンドの中空部は、これを直線で結んだ位置から計測する。]
[この計測に関しては、ハルに以下の条件を満たす事を要する。]
深さ13_の垂直な耳を持つ直径305_の平らな円盤でできた計測具をハルの表面に置いた時、耳の2箇所以上が接触し、円盤には全く接しないこと。この制限に関しては、1991年以前に登録された艇には適用しない。
規則4.シアー
デッキ、およびガンネル側面を含めたハルの上部の外縁と定義される、シアーラインに関しては、直線またはなめらかな曲線とする。
規則5.フレアならびにタンバルホール
規則3.(b)に定める床の計測点の隆起から、ハルの垂直断面を含むハル外縁に強く張ったテープが、ハルの外壁から19_以上、離れてはならない。
規則6.削除
規則7.コースの構成
各国でのレース、ヨーロッパ選手権、及び世界選手権のインストラクションで規定するすべてのレースにおいては、スピンネーカーのリーチング・レグを含めて構成するものとする。
規則8.アンカー
アンカー及びアンカーチェーン、アンカーロープは必ずしも搭載しなくても良い。
規則9.重量
(a)ハルは、完全に水を抜いたドライ・コンディションの状態で、74.25kg以上の重量がなければならない。ハルには、不可欠のフィッティング(以下に定義する)、浮力装具(取り出し可能、および固定式の物)、スピンネーカー・ポールとその送り出し、取り込みに直接関係する装具、及び修正具を含む。マスト、ブーム、ラダー、センターボード、シート、セール、及びその他の装備は含まない。
[ここで定義する不可欠のフィッティングとは、]
(T)フィッティングであって、ハルにボルト、接着剤、またはネジで固定したもの。
(U)ハルに取り付けられたフィッティングであって、他のハルの計測規則ではハルの一部とされるもの。これには、フット・ループ、転倒防止材料、及びフォアデッキでガンネル間にあってガンネルに取り付けた材料を含み、且つこれらのみに限定しない。
(V)規則15.(c)(T)に定める、ローワー・バンドの取り付け位置の高さを超えない位置に取り付けた、マストの支持に使用する一切の装備。
(b)ハルの重量が制限以下である場合、鉛の修正具を追加する。これ以外の船内バラストを積んではならない。不可欠の固定式フィッティング並びに全ての修正具は動かしたり、手を加えてはならない。違反した場合は、公式計測員による再計測を受け、計測証明にその再計測重量の記載を受ける事を要する。全ての修正具の重量は、計測証明にこれを記載する。
規則10.センターボード
センターボードは、1枚に限り搭載が認められる。
規則11.浮力装備
艇の浮力装備は、以下の項目を満たすものとする。
(a)規則12.の規定。
(b)以下の条件。
(T)浮力を有する材料で建造した艇にあっては、少なくとも容量0.085立方b以上の、独立して、且つ気密された装備をハルに取り付けるか、またはその一部として備える事を要する。
(U)浮力を持たない材料で建造した艇にあっては、容量0.085立方b以上の、独立して、且つ気密密封された発砲プラスチック、あるいは堅牢なエアバッグ3個を備えることを要する。これらは検査の為に取り外せるものでなければならない。
(V)スカッパー、バルブの類は、艇が浮いている時も、転覆または浸水した時でも、誤って開くことが無いように閉まっていることが必要である。
規則12.浮力テスト
セール、ブーム、ラダー、ティラー、その他取り外せる装備を一切除いた状態で、但しセンターボードとマストは取り付けたままで、艇は以下のテストに合格しなければならない。
(a)艇を横倒しにし、マストが水平の状態で、艇はそのバウから1524_、スターンから610_以上隔たった位置で、136`以上の荷重を水面上で支える事が出来ること。このテストは左右両舷についてそれぞれ10分間行い、引き続いて引き起こした状態で10分間行う。このテストの終了時に定められた負荷の基で、艇はその全長にわたって、ハルの上限(シーアラインあるいはガンネル)が127_以上水面に出た状態で浮いていなければならない。
(b)艇を水から上げた後、計測員は全ての浮力装備の含んだ水量が13.6`以下である事を確認する。エアバッグについては、空気の目減りが目につくようであってはならない。
(c)全ての浮力テストの有効期間は12ヶ月とする。計測証明が有効である為に、12ヶ月ごとに本規則12.の(a)から(d)までに従って実施する。その後の再テストについては、各国の協会で認めているドライテストの方式を用いてもよい。自国の領海を離れて帆走する艇、及び国際選手権大会に参加する艇については、本規則12.(a)から(d)までに従った再テストが必要である。
規則13.セールプラン
(a)
(T)セールプランは、ハル、あるいはマストにかかる、ガンネル・アセンブリーの上端から7626_を超えるものであってはならない。マストはその上端がハルあるいはマストにかかるガンネル・アセンブリーの上端であるような、明瞭に識別出来る色彩のバンドに塗装するものとし、この上端は前記の高さ(7626_)を超えてはならない。このバンドをガンネルバンドと称する。
(U)マストが台上に位置し、またはガンネルよりも高い位置にある時は、前記の7626_はマストにかかるガンネルラインから計測する。マストジャックが使用されている時は、それをいっぱいに延ばした状態で計測する。スピンネーカー・ブームは使用中であっても、これをマストに取り付け、又は固定する必要はない。
(b)マストに直角に張ったスピンネーカー・ハリヤードの先端の延長線は、ガンネルバンドの上端から、7626_の範囲以内でマストと交わるものとする。もしスピンネーカー・ハリヤードがアイもしくはブロックを通るものであるときは、そのアイ及びブロックはマストから76_以上突出してはならない。
(c)予備
(d)すべてのセールは、艇が停泊していない時に、降ろし又は巻き収める事が出来るものであること。
(e)
(T)スピンネーカー・ブームの先端は、エンド・フィッティングを含めてバウの先端の断面から2743_離れた垂直面を超えて突き出してはならない。この2743_の計測はハルのセンターラインの延長線に対して直角に計測する。スピンネーカー・ブームは、ヘッドセールのバウスプリットとして、又はクローズホールドで帆走の際に使用してはならない。全てのスピンネーカー・ブームは、使用中であってかつメインセール・ブラックバンドより低い位置になるときは、先端の直径を50_以上とし、更に先端が鋭角とならない形とするか、キャップでカバーしなければならない。
(U)収納時のスピンネーカー・ポールはバウの先端に垂直な断面から900_以上突き出てはならない。スピンネーカー・ブームは、スピンネーカーを使用していない際には常に収納状態とすること。スピンネーカー・ブームは、その使用時にマストに取付け、又は固定する必要はない。
(f)レース中に一度スピンネーカーを上げた時は、そのレースを通じてそのスピンネーカーのみを使用する事とする。
規則14.セールエリア
(a)ヘッドセールの面積は0.5×L×LPとし、そのL及びLPについては、規則15.(b)(T)および規則15.(b)(U)でそれぞれ定義する。面積は0.01平方bの単位で四捨五入をし、これを鮮明な色の消えないインクで6_幅で、セールの左舷にあたるクルーの76_以上の高さに記入する。
(b)メインセールの面積は0.25A(G1+G2+G3+0.5B)とし、そのA及びBは規則15.(c)(T)および規則15.(c)(U)でそれぞれ定義し、G1、G2ならびにG3は規則15.の(c)(X)で定義するメインセールの寸法とする。この面積は0.01平方bの単位で四捨五入しこれを計測証明に記載し、かつセールの左舷にあたるクルーに記載する。更にその上にこのメインセールの面積に対して許容されるヘッドセールの最大面積(すなわち18.58平方bから、計測されたメインセールの面積を差引いたもの)を併せて記載する。これらの数字は、76_以上の高さに幅6_以上で鮮明な色の消えないインクで記載する。
(c)総面積が常に18.58平方bを超えない範囲で、メインセールとヘッドセールの面積の異なる組み合わせを自由に選んでよい。
(d)一隻の艇に対して、12ヶ月以内に2個以上のスピンネーカーを計測証明に記載する事は許されていない。全てのスピンネーカーには時系列的に連番を取り、各フリートでの計測員がクルーに記載して、日付と共に署名の上、併せて計測署名に記載する。
規則15.セールの計測
(a)方式
(T)計測は、セールを平坦な表面に展開し、皺を延ばすに足る程度に計測方向に引っ張った上で行う。全ての計測は、テープリングやローピングを含めた全体について、バテンをいれたままで行う。
(U)メインセールの頂点は、セールの最上部に等しい位置から、ラフ又はその延長線に垂直におろした、ラフ又はその延長線上の一点と定義される。
(V)メインセールのクルーとは、セールの最後部でフット、またはフットロープを含むその延長線にかかる部分と定義される。
(W)計測は各々のセールについて行い、規則に定まっている結果を得たときには、計測員はヘッドセールについては規則14.(a)、メインセールについては規則14.(b)、スピンネーカーセールについては規則14.(c)にしたがって、日付及び署名と共に、セールの左舷側のクルーにその面積を記入する。
(X)全ての補強材はあらゆる方向に折り曲げることが出来るものであって、折り重ねた時に縁から13_以内のものに限る。コーティングを含むセールの仕上剤は補強材の折曲げを妨げない事。この規則はセールボード、クルーボード、その他のセールに取り付けるフィッテングで最大長102_を超えないものには適用しない。
(b)ヘッドセール
(T)ラフの長さLは、タックの位置のセールの下端からタックの位置のセールの最上端までを計測する。レース中は計測値Lを超えてはならない。またヘッドセールには、直径が1.25_以上のチェックワイアーをレース中はセールの上端とタックの間に取付けて、計測値Lを常に超えることがないように、又タックと上端の取付位置の距離が計測値Lを超えないようにするか、或はヘッドセールを計測に提出した際にチェックワイアーが上端とタックの間に取付けられていなかったときには、Lの計測はラフに5`の張力をかけて行うものとし、計測値Lは左舷側のタックの150_以内に、高さ25_以上の文字で記入する。
(U)LPのラフの長さはラフにもっとも近いクルーの外縁から計測する。クルーはフットとリーチの交わる位置から必要な長さと定義される。
(V)ヘッドボードの使用は認められない。229_以内のクルーボードの使用は認められる。クルーボードは手で折り曲げる事が出来ないものと定義する。
(W)ヘッドセールのリーチは直線または凹曲線と定義する。
(C)メインセール
(T)Aの大きさは、マストに印されたローワーバンドの上端からアッパーバンドの下端までとする。ローワーバンドの上端は、最も引き下げたときのブームの上端がマストに直角のときにマストを横切る線とする。セールのヘッドボードは、決してアッパーバンドの下端を超えてはならない。
(U)Bの大きさは、ブームの先端に印されたバンドの内縁からブームの上端に沿って、部分的な彎曲部を除いてマストの後部、及びトラックまでとする。セールのいかなる部分もこのバンドの内縁を超えてはならない。
(V)AとBの大きさは、計測証明に明記する。
(W)メインセールのヘッドボードの大きさは、マストに直角に計測したとき102_以内とする。
(X)ガースの大きさ、G1、G2、及びG3は、セールヘッドから観て各々リーチの上の、ボルトロープも含むセールのラフに最も近い位置から計測する。リーチの半分の高さは、ヘッドセールをクルーまで折り曲げて、又リーチの1/4と3/4の高さは、それぞれクルーとヘッドをリーチの半分の高さまで折り曲げて決定する。もしセールのリーチに中空部分があるときは、これを直線で補って、そこからガースの計測を行う。
規則16.ブーム
フィッテングを除いたブームは、内径150_の輪を通過するものである事。ブームに取付けた全ての物の、径150_を超えて突出する高さの累計は、152_以内とする。
規則17.識別マーク
(a)メインセールの両側には、14の記号と、その下に国名、及び計測証明に記載した艇のクラス番号を掲げるものとする。例えば、
GBR 1355
(b)各艇は、トランサム、ホグピース、又はスウォート上に高さ19_以上の文字で以下のいずれかの方式で恒久識別マークを揚げる。
(T)クラス番号の全部。例えば:GBR 1355
(U)製造者の識別記号。この場合、その記号は計測証明に記載がなければならない。
規則18.禁止事項
次に揚げるものは禁止する。
(a)マスト、ないしはブームであって、当初から曲がった構造のもの。
(b)回転式マスト。
(c)バンプキン。
(d)ダブル・ラフをもつセール。
規則19.乗員
乗員はヘルムスマンを含む2名とする。
規則20.乗員の装備
(a)乗員はいずれもハル、フィッティング、或はガンネル・アセンブリーに接していること。いずれの乗員も、別個に、あるいは同時にトラピーズを使用することが出来る。
(b)トラピーズ・ハーネスは水に濡れても浮くもので、重量5`を超えないものとする。
(c)競技者は、体重を増やすことを目的とした衣類、ないしは装具を着用してはならない。ひとりの競技者が着用する衣類と装具の総重量は、競技規則付則Jに従って計算する際10`を超えてはならない。
規則21.計測証明
(a)計測証明とその書式は、世界協会の承認を受けなければならない。
(b)いかなる艇も、有効な計測証明がないときには競技することが出来ない。計測ならびに登録の申請を提出することは、各艇のオーナーの責任であり、所属する国の協会に対しセールナンバーと計測書式を請求するものとする。
(c)計測書式および計測証明に記入し、結果が各規則の規定内にあるものであれば、クラス規則に合致する旨を照明する公式計測員の立会いの手配は、各オーナーの責任で行う。
(d)記入を終えた計測証明は、各国協会で定める登録料と共に、オーナーが各国協会に返送すること。各国協会は、この計測証明を裏書する。
(e)オーナーが変わると同時に計測証明は効力を失うが、新しいオーナーは各国協会の規定に従って、再証明を申請出来る。
(f)各国協会が発行し、或は裏書した計測証明は、艇がこれらの規則と計測証明の記載事項に則り、更には期限以内に浮力試験を受けている限り、有効である。(規則12.(c)を参照)
(g)各艇のオーナーは、有効な計測証明を維持する責任を持つ。
(h)もし計測書式または計測証明の記載事項に何らかの変更が生じた場合には、オーナーは公式計測員による変更箇所の再計測を手配する。計測員は、その結果が規定内であったときには、計測書式または計測証明の関係箇所を修正し、オーナーは各国協会の定めた規定に従ってその確認を受ける。
(i)これらの規則は1996年1月1日から有効とし、この日以降インターナショナル 14として最初の計測を受ける全ての艇に適用する。リグとセールの計測を1976年3月1日から1982年2月28日迄の間に当時の規則に従っている艇は、引続きそれらのリグとセールを使用しても差支えないが、もしこれらのリグに変更を加えたとき、或は追加のセールを用いるときは、1989年1月1日の規則の適用を受ける。
1976年3月1日以前に最初の計測を受けた艇に関しては、当時有効であった規則の適用を受けるものとする。何らかの変更、交換、修理を行った時は、オーナーの選択で、最初の計測当時の規則の適用を受けるか、本規則の適用を受ける事となる。何れにせよ、これらの規則に則ったセール・プラン、またはスパーの変更があったときには、セール或はスパーはこれらの規則に従って再計測し、新しい計測証明を発行する。
(j)1997年1月1日以前に、オーストラリアン14協会又はニュージーランド14協会によって最初の計測を受け登録された艇は全て、それが初期の計測を受けた時点の規則に従っている限り、本規則の規則1.および規則3.に従う必要はない。
(k)オーストラリアおよびニュージーランドのインターナショナル 14協会は、1999年1月1日迄は、それぞれの協会により現地の規則に従った計測を受けた、62.5`の軽い重量で登録されているオーナーのエントリーに限定したレースを開催運営する事が認められている。
(l)インターナショナル 14協会と、オーストラリアおよびニュージーランドの14協会での、それぞれの規則の間で矛盾があった場合は、その矛盾を1996年6月25日付オーストラリアン・ロータリー・レターに従って解消するものとする。